息子の生きてきた約15年の人生の中で、他人から頼りにされるということは、これまでに一度もなかった。
それは彼自身も事あるごとに感じさせられてきたことで、中学の時に「○○委員をやりたい」と立候補したのに、生徒どころか先生にまで「心配だなぁ」と言われてやらせてもらえなかったことさえあった。勉強も、分からないところをいつも人に教えてもらうばかりだった。
ところが高校生になってからは違う。誰もやりたがらない係に立候補したところ、周囲から「お願いします!」と感謝されて驚いたそうだ。勉強は聞かれて教える側になった。5月半ばに少し帰りが遅い日があったので理由を尋ねたら、「製図をいろんな子に教えていた」と嬉しそうだった。
先日ようやく2月に受験した私立高校の面接の話をしてくれたのだが、面接官の先生に「まじめでいい子でやる気があるって書いておくよ」と言ってもらったそうだ。幼稚園の面接では「呼びかけに応じない」なんて言われた彼、こうも変わるものなのだと感心している。(緑 2018.6 vol.85)
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