息子は鉄道が好きで、これまでも周りに鉄道好きの同級生は何人もいた。
だが一口に「鉄道ファン」と言っても「撮り鉄」、「乗り鉄」など興味のあることはそれぞれ違う。息子は自分と同じ通勤型電車が好きな子になかなか巡り合えず、多少鉄道の話はできても「じゃあ一緒に撮影に行こう」「電車に乗りに行こう」という仲の友人はいなかった。また息子の高校には鉄道研究部があるが、自分に合いそうな感じがしなかったとかで入部には至らなかった。
ある日、たまたま放課後の講演会で知り合った一学年上の先輩達と仲良くなり、その後昼休みに毎日のように図書室に集まってアニメの話で盛り上がるようになっていった。会話の中で息子が電車好きだと知ると、一人の先輩が、幼い頃の電車好きの記憶が蘇ったのか急速に電車にハマり、アルバイト帰りに「こんな電車がいた!」と写真が送られてくるようになった。それからは学校の帰りに「今から電車を見に行こう!」と誘ってもらうなど、大好きな電車をネタに楽しいやりとりが続いてきた。
その先輩達もこの3月に卒業――。これからもゆるく繋がっていてくれたらいいなと思う。
(緑:2020.3 vol.106)