通級指導教室体験記

通級指導教室に6年間息子さんを通わせた経験を持つ緑さん(中2男子の母)に体験記を寄稿していただきました。

息子は小学校の6年間、通級指導教室を利用しながら通常級で過ごしました。入学前は支援級と通級のどちらを選ぶか迷いましたが、保育園の先生や、定期的に発達検査で様子を見てもらっていた療育センターの心理士と相談して、私自身が決めました。

 

息子の学校は通級設置校ではなかったため、同じ区内の設置校へ授業を抜けて通学しました。まずは入学後の6月から隔週1時間の個別活動が始まり、10月からは数人で指導を受ける集団活動が始まって、毎週通級指導を受けることになりました。

 

ここからは情緒通級の場合です。情緒通級では主に、対人関係をうまく築いていくための方法を学びます。簡単なゲームをしたり、絵カードを使ったりで、療育を受けたことのない方は少々ショックを受けるかもしれません。私もその一人でしたが、息子が授業を抜けて通級へ行くことを嫌がらなかったし、先生も色々と相談に乗ってくださったので、私も頑張って一緒に通いました。

 

指導は、個別指導と数人から10人くらいまでの集団指導を隔週で1時間ずつ受けます。子どもによっては個別指導のみの場合もあります。個別指導は学校や家での様子を聞かれたり、知育玩具を使ってゲームをしたり、絵カードを使って学習したりします。時には工作をやったり、少し体を動かしたりもします。基本は子どもの状態に応じた指導です。集団指導はルールを守ってゲーム、表情を読み取る練習、怒りのコントロールなどを通じて対人関係のスキルを身に付けていけるようにします。

  

しかし、通級指導の効果が自校での学校生活ですぐに出るわけではありません。同じクラスの相性の悪い子とは何度もトラブルになりましたし、相性の悪い先生だと1年間、行動面での小言を言われ続けることもありましたから。「6年間を振り返ってみて、対人関係スキルアップにつながったか?」と問われても、はっきり「はい」とは答えられません。低学年の頃の通級の懇談会では、上級生の親が「長い目で見て」とよく言ってましたが、その言葉の意味が少しはわかるようになってきました。

 

現在、息子は中学2年生になりましたが、引き続き通級を利用しています。小学校通級ほど回数はありませんが、息抜きの日として本人も楽しそうに通っています。中学校では穏やかに過ごせるかなと期待していましたが、昨年は頻繁にトラブルに巻き込まれ、また嫌な思いをしました。うまく行ってる…と思ったらその気持ちをガラガラと崩されて…の繰り返しですが、そういう経験がいずれ役立つものになると思い、長い目で見ていこうと思います。(緑:中2男子の母)2016.5