たつのこ共同保育所リレーエッセイ vol.10

たつのこ季節の口福

ある日、たつのこ花壇にトマトの芽が出ていた。去年植えた苗のこぼれ種だろう。世話していくうちに、大きくなった。小さい子たちは青いトマトをもぎ取って遊んだりもしているが、大きい子たちは赤くなるのを楽しみにしている。庭にはこどもたちがよじ登りもする古いみかんの木がある。今の季節、青いみかんが注目の的。もぎ取る子どももいる。

 

大きい子たちは「そのまま置いとくとおいしくなるんだよー」と説明しているが、小さい子はとってしまう。来年か再来年には、小さい子たちも下の世代に、時がくだものを熟すことを伝えるのだろう。大きい子たちも去年かおととしにはその時の年長者に止められつつも青い実をもいでいたのだろう。

小さい子たちがもぎとった青いみかんは、結局大きい子が皮をむいてあげてみんなでいただいてしまう。大人が食べてみると口が曲がるくらい酸っぱいのだけど、子どもたちは結構ペロッと食べてしまう。青いみかんの味と香りはたつのこの秋の風物詩だ。

 

初夏には、ゆすらうめやブラックベリーも花を咲かせて実をつける。それらも子どもたちが楽しみにしている季節の口福だ。

(子連れ保育者Y)

 

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